ネパールの国旗の意味とは?簡単にわかりやすく解説!【なぜ三角?】

ネパール国旗とエベレストのイラスト 世界あれこれ

「ネパールの国旗って、どうして三角形なの?」
「あの赤と青の色に意味はあるの?」

この記事では、そんな疑問にわかりやすくお答えします。

国旗の形や色の理由、ちょっと変わった昔のデザインまで、知っておくと面白い話をぎゅっとまとめました。

むずかしい言葉はできるだけ使わずに、国旗の形の理由やマークの意味、昔のちょっと面白いデザインまで、知っておくと面白い話を紹介していきます!

独特な形!ネパールの国旗はなぜ三角なの?

ネパール国旗

ネパールの国旗って、ちょっと変わった形をしてますよね。

実はこの形、世界で唯一のもので「ダブルペナント型」という形になります。

でも、どうしてわざわざこんな形にしたのか?

まずはそこから見ていきましょう!

なぜ三角形なの?理由や意味を簡単に解説!

ネパールの国旗が、上下に重なった二重の三角形になっているのは、歴史的な背景と、そこに込められた象徴的な意味の両方が関係しているんです。

ネパール国旗の由来!歴史的な背景とは?

もともとネパールの国旗が今のようなユニークな形になったのは、王族・シャハ家と、のちに実権を握った宰相・ラナ家という、ふたつの家の歴史が関係しています。

18世紀、シャハ家がネパールを統一し、王として君臨していましたが、その後クーデターによってラナ家が政治の実権を握り、長いあいだ首相の座を世襲するようになりました。

このふたつの家が権力を分け合う「二重構造」の時代に、それぞれが使っていた三角形の旗を組み合わせて作られたのが、現在の国旗の原型です。

シャハ家の旗には「月」、ラナ家の旗には「太陽」が描かれていて、その名残が今の国旗にもちゃんと受け継がれています。

上下に並んだ月と太陽のマークは、まさにその象徴なんですね。

のちに王政は復活しましたが、国旗が既に国民に定着した国家のシンボルになっていることから「安易に変更すべきでない」と考えられ、そのままのデザインが継承されました。

ちなみに、こちらが一番最初の国旗のデザインです。

出典:List of flags of Nepal – Wikipedia

今よりも、月や太陽の形がはっきりしていますね。

その後デザインが幾度か変更され、1962年の憲法改正時に現在の国旗になりました。

象徴的な意味

歴史的な背景だけでなく、国旗には象徴的な意味も込められています。

この2つの三角は、ネパールの象徴ともいえるヒマラヤ山脈の山の形を表しているとも言われています。

さらに、形の重なりには、ネパールに根づくヒンドゥー教と仏教さまざまな民族の共存といった、文化や宗教の調和を象徴する意味も込められているんです。

こうした背景から、ネパールの国旗は「世界でただひとつの形」として、見た目にも中身にも特別な意味を持つデザインになっているんですね。

形だけじゃない!ネパール国旗の他の意味とは?

ネパールの国旗には、形だけでなく、模様や色にもそれぞれ意味が込められています。

模様にはどんな意味があるの?

国旗に描かれている模様といえば、月と太陽のシンボル。

さきほど、歴史的な背景としてこの”月と太陽のシンボル”が使われているとお伝えしましたが、ただ使われているだけではなく、ここにも大切な意味が込められています。

月と太陽はどちらも空にいつもあって、決して消えることのない存在ですよね。

そんな存在にたとえることで、「ネパールという国も、ずっと変わらずに続き、これからも発展していきますように」という願いがこめられているんです。

国旗の中のシンボルには、見た目以上に深い思いが込められているんですね。

赤と青の色に込められた意味とは?

ネパールの国旗に使われている色にも、それぞれちゃんと意味があるんです。

まず、目をひく鮮やかな赤

これはネパールの国花・シャクナゲの色で、国のシンボルカラーでもあります。

赤いシャクナゲの花
これがシャクナゲの花

「勇気」「情熱」「国を守る強い意志」など、力強さを感じる思いが込められています。

そして、赤を囲むように描かれているのが青いふち

こちらは「平和」や「調和」、ヒマラヤの澄んだ空のような清らかさをあらわしていて、国境を越えた協調の精神をイメージさせる色でもあります。

さらに、月と太陽に使われている白は、「純粋さ」や「永遠」「清らかさ」の象徴とされています。

こうして見ると、ネパールの国旗には、国の自然や文化、そして人々の心に根づいた思いがしっかり詰まっているんですね。

つまり!ネパール国旗を簡単にまとめると?

ネパール国旗
  • 形はヒマラヤの山々を表し
  • 形の重なりには宗教や民族の共存を示し
  • 色は自然や文化を象徴し
  • 月と太陽は「ずっと続いて発展しますように」という願い

こんな様々な意味がぎゅっと詰め込まれた国旗、それがネパール国旗です。

💡ちょっと寄り道

余談ですが、こちらはネパールの国章。

© CAPTAIN MEDUSA, CC BY-SA 4.0
参考:ネパールの国章 – Wikipedia

色鮮やかで、すごくきれいですよね。

中央にはエベレストと、まわりには国花のシャクナゲが描かれています。

さらに丘や平野などネパールの地形をあらわすイラスト、また男性と女性が握手する姿も。その意味は「男女の平等」を表しているのだそう。

自然の美しさと、大切にしている価値観が詰まった、こちらも素敵な国章です。

【Q&A】ネパール国旗の気になるアレコレ

ネパールの国旗についてあれこれ考える男の子

ここまでネパール国旗の由来や意味についてご紹介してきましたが、その他に気になるアレコレをQ&A形式でお届けします!

Q. ネパールの国旗と似てる国はあるの?

A. ありません。
この旗は一つしか無いオリジナルの形なんです。

ただ、見た目がほんの少し似ていて混同されやすい国はあるかも?!

見た目がちょっと似ている?!国旗とは

ネパールの国旗のように「三日月」がデザインされているものはほかにもあり、たとえば、トルコやマレーシア、チュニジアなどの国旗にも三日月が使われています。

トルコ国旗
トルコの国旗
マレーシア国旗
マレーシアの国旗
チュニジア国旗
チュニジアの国旗

でも、これらは長方形の中に描かれていて、また月と”星”が描かれているもの。

ネパールのように「月」と「太陽」の両方がデザインされている国旗は、実は他にないんです。

さらに、上下に三角が重なった“あの形”もネパールだけのもの。

つまり、ネパールの国旗は「形」と「シンボル」の両方で、世界にひとつだけの国旗なんですね。

Q. ネパールの国旗って昔は「顔」だったって本当?

A. 本当です!
実は昔のネパールの国旗には、月と太陽の中に“人の顔”が描かれていた時期があるんです。

© Orange Tuesday, CC BY-SA 3.0,via Wikimedia Commons
参考:List of flags of Nepal – Wikipedia

このデザインは、ネパールがラナ家によって統治されていた時代(19世紀後半ごろ)に使われていたもので、よく見ると月と太陽の中に、ちゃんと“顔”が描かれています。

じっくり見てみると、まるで太陽と月が空から見守ってくれているような、守り神のような雰囲気もありますね。

こうしたデザインには、当時の信仰や権力へのイメージが反映されていたのかもしれません。

今の国旗ではこの「顔」は描かれていませんが、もしそのまま残っていたら…?

実は“顔つきの国旗”って、世界中を見ても他に例がないんです。

もしかしたら、ネパールは「形」「月と太陽」「顔」の三拍子そろった、唯一無二の国旗になっていたかもしれませんね。

Q. ネパール国旗はオリンピックではどうしてるの?

A. 実は、場面によって“本来の形”と“長方形バージョン”が使い分けられているんです。

オリンピックでは、各国の国旗をずらっと並べて掲げる場面がありますよね。

そのとき、見た目の統一感や公平性を保つために「縦横比を2対3に統一する」、つまり「長方形にする」というルールが設けられています。

そのためネパールの国旗も、あの三角形ではなく、白い長方形の中に描かれた“特別バージョン”が使われることがあります。

たとえば、2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、メイン会場の屋根に飾られた各国の国旗の中に、その特別バージョンが確認できます。

さらに、リオ五輪の公式マスコット「ビニシウス」がネパールの国旗を振っているイラストも残っています。こちらも白の長方形版です。

ただし、開会式の入場行進や表彰台での掲揚などでは、“本来の形”のまま使われることも多いんです。

同じ2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、行進時はオリジナルの形で掲げられていました。

2020年に行われた東京オリンピックでも本来の形のまま掲げられています。

2024年のパリ・パラリンピックでは、表彰台でもしっかりオリジナルの形で掲揚されています。

よく見ると本来の形で掲げるための工夫が垣間見えますね。

つまりネパールの国旗は、使用シーンに応じて柔軟に対応されつつも、“本来の形”をできるだけ尊重する方向にあるようです。

やっぱり、国旗の形はその国の文化や想いがこもった大切なシンボルなので、変形されるのって複雑な気持ちになりますよね。

最近では「形を尊重するべき」という声も多く、そうした声に配慮して、そのままの形で使われる機会が増えてきたのかもしれません。

ネパールの「旗」は他にも!カラフルな旗の正体は?

ネパールのタルチョ

ネパールについて調べていると、国旗とは別にこのようなカラフルな布が風になびいている写真を見かけることがありますよね。

これは「タルチョ」と呼ばれる祈りの旗なんです。

よく見る「タルチョ」ってなに?

タルチョは、チベット仏教で使われる五色の祈りの旗で、それぞれの色には「空・風・火・水・地」といった自然の要素が対応しています。

旗が風になびくことで、そこに書かれたお経や祈りが風に乗って広がるとされ、人々の平和や健康を願う意味が込められているんです。

ネパールではこのタルチョも“旗”の一つとして広く親しまれているため、「ネパールの旗」といえばこのカラフルな布を思い浮かべる人も少なくないかもしれませんね。

もっと詳しくタルチョについて知りたい方は、別記事でくわしくご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。

👉 [タルチョとは?色の意味や飾る理由をやさしく解説(準備中)]

気になる!ネパールの国旗の書き方や比率は?

ネパールの国旗を精密に描く男性のイラスト

ネパールの国旗って、形がちょっと変わっているからか「どうやって描くの?」「比率は?」と気になる人もいるのではないでしょうか。

とくに図形が得意な人なら、「あの形って数学的にどうなってるの?」と思ったことがあるかもしれませんね。

実はネパール国旗には、ちゃんとした設計手順があるんです。

実は細かく定められている比率

ネパールの国旗は、世界で唯一「数学的な手順で正式に描ける」と憲法に明記されている国旗です。

そのため、比率や線の引き方まで細かく決められていて、まるで図形の作図みたいな感覚!直定規とコンパスがあれば描けるんですよ。

気になる方は、詳しい書き方や比率について、図解つきで紹介した別記事にまとめています。

「実際に描いてみたい!」という方は、ぜひそちらもチェックしてみてください。

👉(準備中)


ネパールの国旗は、つい見た目のユニークさばかりに目がいきがちですが、実はその中にはさまざまな意味や想いが込められています。

  • 形は、ヒマラヤの山々や自然を表し
  • 色は、国を象徴するものとして使われ
  • 模様には、人々の想いが込められた

こうした背景を知ることで、ネパールの国旗が「世界で唯一のデザイン」と言われる理由も、さらに身近に感じられたのではないでしょうか。

また、記事を読んで、初めて知ったエピソードがあった方もいるかもしれません。

ネパールという国に、少しでも興味を持っていただけたらうれしいです。

ほかにもネパールにまつわる情報を紹介していますので、よければ関連記事もチェックしてみてくださいね。

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