せっかくパイを焼いたのに、切ってみたらサクサク感がなくて、なんだかベチャッとしている…。
このときのガッカリ感といったらないですよね。
「パイはあのサクサクが魅力なのに、どうしていつも思うように焼けないんだろう?」
そんな風にモヤモヤした経験、ありませんか?
そこで今回はそのモヤモヤを晴らすべく、冷凍パイシートがサクサクにならない原因と、上手に仕上げるためのポイントをわかりやすくご紹介します。

この記事を読むと、次こそ「これこれ!」って思えるパイが焼けるようになりますよ
ぜひ最後までチェックしてくださいね。
基本をおさらい!冷凍パイシートについて知っておこう

サクサク感を生み出すには、冷凍パイシートがどんなふうに作られているかを知っておくことがとても大事。
そこで、冷凍パイシートの”仕組み”を簡単におさらいしておきましょう。
冷凍パイシートってどういうもの?
冷凍パイシートは、小麦粉・バター・水などで作った生地を、薄いシート状にして冷凍したもの。
このシート状にする過程で、生地は何度も折りたたんで伸ばされて、層が作られます。
この「層」が、パイのサクサク感の決め手。
焼いている間に、生地の間に織り込まれたバターが蒸気になってふくらむことで、あの軽やかな食感が生まれるんです。
ただ、うまく扱えないとその層がつぶれてしまって、べちゃっとした仕上がりに。
サクサクの決め手になるこの「層」をつぶさずに焼き上げるには、ちょっとしたポイントがあるんです。
サクサク食感を生み出すポイントは?
冷凍パイシートをサクサクに仕上げるには、温度と水分のコントロールが大きなカギ。
生地の扱い方、フィリングの水分対策、焼く温度など、どれか一つでもうまくいかないと仕上がりに差が出てしまいます。
でもこれって逆にいえば「なぜうまくいかないのか?」を知っておけば、しっかり対策できるということ。
そこで次の章からは、うまくいかない原因をひとつずつ掘り下げて解説していきたいと思います。
冷凍パイシートがサクサクにならない原因は?

冷凍パイシートがサクサクにならない原因は
- パイシートの扱い方
- フィリングの状態
- オーブンの使い方
この3つのどこかに問題があることが多いです。
思い当たることがないか、順番にチェックしていきましょう。
1. パイシートの扱いに問題があった
パイの焼き上がりを左右する、大きなポイントのひとつが「パイシートの扱い方」です。
とくに解凍方法や、その後の取り扱いには気をつけたいポイントがあり、ちょっとしたミスがサクサクにならない原因に。
ここでは、パイシートの扱いでやりがちな失敗を見ていきましょう。
パイシートの解凍のやりすぎ
冷凍パイシート、つい解凍しすぎていませんか?
常温で放置して柔らかくなりすぎると、生地の中のバターが溶けてしまい、焼いてもしっかり膨らまず、サクサクの元になる層ができにくくなってしまいます。
つまり、サクサクに仕上げるコツは「完全に解凍しない」こと。
冷蔵庫などで半解凍の状態にしてから使うのがベストです。
解凍しすぎないように、使うタイミングも意識してみてくださいね。
解凍した後に時間をかけすぎた
せっかくいい感じに半解凍にできても、そのあとにのんびり準備していると、この間にもじわじわとバターが溶け出してしまいます。
たとえば、調理器具を出すのに手間取ったり、型に敷く作業や飾りつけに時間をかけすぎたりすると、生地がダレてしまう原因に。
特に慣れないうちは、どうしても作業に時間がかかりがちですが、作業前に必要な道具や材料をそろえるなど、なるべく「手早く」を意識しましょう。

解凍したパイシートって、もう一度冷凍できるの?

できなくはないけど、サクサクにはならないかも。
一度解凍したパイシートで成形したり、型に敷いた時「あれ、生地がちょっと余っちゃった…」なんてことありませんか?
そのまま冷凍して取っておこうかな…と思う方もいるかもしれませんが、それはあまりおすすめできません。
というのも、解凍したパイシートは、中に織り込まれているバターがすでに溶けかけている状態。
このまま再冷凍すると、生地の層がうまく保てず、焼いたときにサクサク感が出にくくなってしまうんです。
なので、なるべく余らせないように少しずつ解凍して使ったり、余った生地は別のお菓子にアレンジしたりするのがおすすめです。
もしくは、↓こちらの動画のようにそのままオーブンで焼いて使ってしまうのもアリですよ♪
再冷凍はせずに、美味しく使い切って下さいね☺️
2. フィリングに問題があった
アップルパイなどのフィリングも、サクサク感を左右する重要なポイントです。
水分や温度の管理を間違えると、せっかくのパイ生地が台無しになってしまうこともあります。
例えばこんなことやっていませんか?
フィリングの水分が多い
フィリングの水分が多いと、生地に水分が染み込んでしまうため、焼いた時にベチャッとなりやすく、サクサク感が失われてしまいます。
特に果物を使ったフィリングは水分が出やすいので要注意。
そうならないために、フィリングはあらかじめ火を通して煮詰めておき、冷ます時にキッチンペーパーの上で冷まして水分を調整しておきましょう。
また、生地の上にフィリングをのせたまま時間が経つと、その間にも水分がじわじわと生地に移ってしまいます。
そのため、フィリングの準備ができたら、あまり時間を空けずにできるだけスムーズに焼きに入るようにしましょう。
フィリングの温度が高い
フィリングの温度にも気をつけたいところです。
十分冷まさないでパイにのせてしまうと、その熱で生地のバターが溶け出してしまい、せっかくの層がうまく膨らまずにサクサク感がなくなってしまいます。
しっかり冷ました状態でのせることで、生地の層がきれいに立ち上がり、サクッとした焼き上がりにつながります。
フィリングは冷ましてのせることを忘れないようにしましょう。
3. オーブンの扱い方が適切ではない
パイをサクサクに焼き上げるには、オーブンの使い方もとても重要です。
せっかく生地やフィリングがうまくできていても、オーブンの温度や焼き方がちょっとズレているだけで、サクッとした感じがうまく出ないことも。
ここでは、見落としがちなオーブンまわりのポイントをチェックしていきましょう。
オーブンの温度不足
サクサクした食感の元になる「層」は、バターがしっかり残った冷たい生地を、高温のオーブンで一気に焼くことで生まれます。
でも、予熱が不十分だったり温度が低いままだと、生地がじんわり温まってしまい、バターが溶け出し、うまく膨らまずべちゃっとした焼き上がりに……。
そのため、オーブンは必ず事前にしっかり予熱して、レシピ通りの温度で一気に焼くようにしましょう。
焼く位置が適切でない
オーブンにまつわる原因でもう一つ挙げられるのが、焼くときの位置。
オーブンは上段や下段など、通常天板を入れる場所が分かれていますが、その位置によっても焼き上がりが変わってきます。
例えば上段に入れてしまうと、表面が先に焼けてしまうので、底のほうが十分に焼けずサクサク感がないまま焼き上がるなんてことも。
基本は下段に入れて焼いていきましょう。
焼き時間が足りていない
「見た目がこんがりしてきたから、そろそろかな?」と思って、つい早めにオーブンから出してしまっていませんか?
でも実は、中までしっかり火が通っていなくて層ができておらず、思ったようなサクサク感が出ていない……というケースも少なくないんです。
そんな時は、↓こちらの記事の「生焼けの見分け方」を参考に、中が焼けているかチェックしながら、しっかり火をいれてくださいね。
また、レシピどおりに焼いたつもりでも、パイの大きさやフィリングの量、オーブンのクセによって仕上がりに違いが出る場合も。
これも先ほど紹介した記事の中にある↓こちらの章で、フィリングやオーブンの扱いについて、さらに詳しく解説しています。
「生焼け」に関する章ですが、サクサクにならない原因とも共通している部分が多いので、もっと知りたい方はぜひご覧になってくださいね。
冷凍パイシートで作る!サクサクパイの手順まとめ

これまで見てきた「サクサクにならない原因」をふまえて、ここからは実践編!
ポイントを押さえたパイ作りの流れを紹介していきます。
先ほどお伝えした内容に加えて、仕上がりに差が出るちょっとしたコツも交えながら、冷凍パイシートでサクッと美味しく焼き上げる手順をわかりやすくお届けします。
”解凍から焼き上げまで”パイ作りの手順をチェック!
1. パイシートを解凍する
冷凍庫にあるパイシートを取り出し、冷蔵庫で30分、または室温で5~10分置いて半解凍にします(パッケージに目安が書いてある場合はそちらを参考にして下さい)。
ただし室温で解凍する時は、その時の室温によって解凍具合が変わってくるので、こまめにチェックするなどの注意が必要です。
解凍の目安は、中心部分を指で軽く押してへこむ程度でOK。全体がしっかりとして形が保たれている状態が理想で、ふにゃふにゃになってしまうと解凍のしすぎなので注意。
2. フィリングや器具などの準備をしておく
フィリングはしっかりと水分を飛ばしておきましょう。特に果物系のフィリングは水分が出やすいので、必ず加熱をして、冷ましておくことを忘れずに。
また生地を扱う時に時間をかけすぎないように、ここで器具の用意や、手順の確認をしておいて、手早く作業をすすめる準備をしておきましょう。
3. オーブンの予熱を始める
パイシートを成形する前に、少し早めにオーブンの予熱を始めます。
少し早めに予熱をするには理由があって、それは予熱が終わったあと少しオーブンを放置するため。
こうすることで、焼く時に十分高温になっている状態で一気にパイを焼き始めることができるので、サクッとしたパイに焼き上げることができます。
さらにここで試してほしいのが、予熱の時に天板も一緒に予熱する方法。
通常、天板は一緒に予熱はしないのですが、火が通りにくいパイの底の部分をサクサクにするために、あらかじめ天板を予熱で熱々にしてから焼いていく方法もあります。
どうしてもサクサクにならない場合は一度お試しを。
ただし、天板は高温になっているので、パイをのせる時はやけどに気をつけてくださいね。
4. パイシートを取り出し成形、もしくは型へ敷く
半解凍になったパイシートを袋から取り出し、好きな形に成形、もしくはパイ皿やタルト型に敷いていきます。
この時、作業中のパイシート以外はバターが溶けないように冷蔵庫へ入れておきましょう。
また作業中にもバターが溶けて柔らかくなってきた場合は、あわてずに冷蔵庫へ入れて生地を引き締めればOK。固さが落ち着いてたら作業を再開して下さいね。
これまでパイシートを伸ばして成形していた方は、一度「伸ばさずに使う」方法も試してみてください。
パイシートはもともとバターが織り込まれた層になっていますが、無理に伸ばすと、この層になっている部分を潰すことになるので、サクサク感が失われる原因に。
レシピに伸ばすと書いていても、そのまま型に敷いたり、軽く手で整える程度にとどめて、層をつぶさずに焼いてみて下さいね。

パイシートを伸ばさずに型に敷くやり方は、こちらの動画がわかりやすかったので参考に。動画の始めのほうでパイシートの解凍のコツも紹介しているのであわせてご覧くださいね。
5. フィリングをのせる
焼きムラを防ぐために生地にフォークなどで穴をあけ(すでに生地に穴があいている場合は省いてOK)、用意したフィリングを生地にのせていきます。
上にパイ生地をのせていきますが、このあと飾りつけをする場合は、時間をかけすぎないことを忘れずに。
時間をかけすぎるとフィリングに残っている水分が生地に移ってべたつく原因になるので、あまり時間をかけすぎず、手早く行いましょう。
6. パイを焼いていく
予熱をしたオーブンでパイを焼いていきます。
この時にパイは、オーブンの下段(もしくはオーブンの説明書で指示がある場合はその位置に)に入れて焼いていきます。
時間はレシピ通りの時間で焼いていきますが、もし途中で焦げそうと感じても時間通りに焼いて下さい。
ここでやめてしまうと表面だけ焼けて、底が焼けておらずベチャッとしたパイになってしまう可能性が。
もし焦げそうと思ったら、表面をアルミホイルで軽く覆ってカバーしながら、指定の時間焼いていけばOKです。
7. パイを冷ます
焼き上がったパイは、すぐに型から外さず、粗熱を取ってから外すようにしましょう。
なぜなら、焼きたてはバターが溶けた状態で生地が柔らかく、蒸気もこもっているため、層が崩れやすいからです。
さらに、フィリングも熱でとろみがゆるんでおり、カスタードやフルーツなどは流れ出してしまうことも。
冷ますことで生地はバターが固まって安定し、フィリングもとろみが戻って型崩れしにくくなります。
見た目もキレイに仕上げるためには、少しの“待つ時間”がポイントですよ。
でも、どうしても熱いうちに型から外したい場合は、まずナイフでフチをそっとなぞって、生地とパイ皿の間をやさしくはがしましょう。
底が外れるタイプの型であれば、そのまま底ごと持ち上げるとかんたんです。外れないタイプの場合は、フライ返しなどで下からそっと支えて、ゆっくり取り出してください。
熱々のパイ生地はとてもやわらかいので、崩れないように気をつけながら、火傷にも十分注意してくださいね。
サクサク感が復活!翌日でもおいしい保存&リベイク術

ここまで「冷凍パイシートをサクサクに焼き上げるためのコツ」を紹介してきましたが、せっかくサクサクに焼けたんだったら、この美味しさを長く楽しみたい!って思いますよね。
そこでこの章では、焼き上がったパイを少しでも長くおいしく保つために、保存のポイントや温め直しのコツをご紹介します。
”焼き立てサクサク”ってキープできるの?
焼き上がったばかりのあのサクサクの感じをキープできたら最高ですよね!
でも、ちょっと残念なお知らせですが…… “焼き立てサクサク”の状態をそのままキープするのってなかなか難しいんです。
というのも、時間が経つとパイにはこんな変化が起こっていくから。
時間が経つと起こる、サクサク感の変化
起きること | サクサクへの影響 |
---|---|
フィリングの水分が生地に染み込む | 生地がしんなり、ベチャつく原因に |
ラップや容器に入れて蒸気がこもる | 湿気で層がつぶれて食感ダウン |
冷めることで油脂の構造が崩れる | 表面がベタつき、軽さがなくなる |
湿気・水分・油脂の変化が重なることで、時間の経過とともにサクサク感は少しずつ失われていきます。
でも、だからこそ! このあとご紹介する「湿気&乾燥対策」や「リベイクのひと工夫」がとても大切なんです。
キープはむずかしくても、ちょっとしたコツで”サクサクで美味しいパイ”に復活させることができるので、その方法を紹介していきますね。
保存のポイントは「湿気」と「乾燥」対策
美味しくパイを復活させるには、まず保存の時に「湿気」と「乾燥」に気を付けましょう。
「湿気」はサクサク感が失われる原因のひとつ
焼きたてのパイは、中に熱と蒸気を抱えている状態なので、そのままラップや容器に入れてしまうと、内部に湿気がこもって生地がベチャッとしやすくなってしまいます。これがサクサク感を失う原因に。
そこで大事なのが、まずはしっかり冷ますこと。
焼き上がったらケーキクーラーや網の上に置いて、風通しのいい場所でしっかりと粗熱を取り、蒸気を逃がして、湿気がこもるのを防ぎましょう。
保存する時は「乾燥」に注意!
ただし、完全に冷めたあとは、今度は「乾燥」が大敵に。
保存は冷蔵庫がおすすめですが、冷蔵庫は乾燥しやすいため、何もせずに入れてしまうと表面がパサついてしまうことも。
そこで、冷めたあとはラップで包み、保存袋や容器に入れてから冷蔵庫へいれましょう。
この両方の対策を行うことで、湿気も乾燥もブロックできます。
ちょっとした手間ですが、これだけで翌日のパイのおいしさがグッと変わりますよ!
翌日も美味しく!リベイクでサクサク復活
冷蔵保存したパイは、時間が経つと少ししんなりしてしまいます。
ここでリベイク(焼き直し)です。
リベイクすることで、美味しさを蘇らせることができます。
リベイクの方法
- トースターにアルミホイルを敷く
- パイをのせて、3〜5分ほど軽く焼き直す
表面がパリッとしたらOK。焦げそうな場合は、上にホイルをふんわりかぶせてくださいね。
中までしっかり温めたいときは、レンジで軽く温めたあとトースターに入れればOK。
「外はサクッ、中はじゅわっ」の美味しさが楽しめるので、こちらもおすすめです。
もっと長く楽しみたいなら”冷凍保存”もアリ!
「すぐには食べきれないけど、あとでまた食べたい」
そんなときは、冷凍保存もおすすめ。
冷凍しておけば、パイの種類にもよりますが2週間~1ヶ月ほど保存が可能。まとめて焼いておいて、少しずつ楽しむこともできますよ。
冷凍保存の手順
- 湿気をこもらせないため、粗熱をしっかり取る
- 1つずつ切り分けてラップで包む
- 密閉できる保存袋や容器に入れて冷凍庫へ
このとき、できるだけ空気を抜いて密閉するのがポイント。冷凍焼けやパイの劣化を防げます。
冷凍したパイの食べ方
冷凍したパイを美味しく食べるには、次の2ステップがおすすめです。
- まず冷蔵庫で自然解凍(もしくはレンジで軽く温め)
- トースターやオーブンで数分リベイク
表面がパリッと香ばしくなったら食べごろです。
冷凍してもサクサク感が戻るなんて、ちょっと感動しちゃいますよね。
「パイを一度に食べきれない」「作り置きしたい」という方は、ぜひ試してみてくださいね。
今回は、冷凍パイシートでサクサクのパイを作るための情報や秘訣をたっぷりとお伝えしました。
ちょっとした温度や水分のコントロールだけでサクサクに近づくので、パイ作りに苦手意識があった方も、まずはひとつだけコツを試してみることから始めてみてくださいね。
次のパイ作りが、ちょっと楽しみになりますように☺️
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